2010年2月アーカイブ

実家で2泊した後、いよいよプレミアムシートの寝心地を試す日がやってきた訳だが、往路で車内がゆっくり飲める雰囲気ではないことを学習したため、今回は乗車前にアルコール注入を完了すべく画策。画策と言っても、具体的なプランは心も体も大きい身長2m弱氏に100%依存して、私は待ち合わせ場所に行くだけ(笑)。アルコール注入に要した費用も加味すると、「新幹線のグリーン車乗れてたやんけ」という、本末転倒な今回のドリーム号検証企画ではある。

で、身長2m弱氏に何から何までお世話になりまくりながら、発車時刻(23:30)の少し前に乗り場到着。それなりに賑わっているが、週末の八重洲口に比べると週の真ん中だからか、やや人が少ない感じ。2階席をわざわざチェックはしなかったけど、きっと半分くらい空席あったんじゃないのかなぁ、と想像した。

そうこうするうちにバスがやってきたので乗り込んでみたところ、「広い!!!!」。とにかく広い。これまでに乗ったどの飛行機のビジネスクラスよりも広い。思い切り足を伸ばしても前の席には届かないし、隣の席は通路の向こうにしかない。「あ、これやったらアルコール事前注入せんでも自分の席でゆったり飲めたやん」というのは後の祭り(笑)。

シートは横幅もたっぷりあるし、リクライニングも水平までは行かないものの相当深い。これは、爆睡できるかも、という予感たっぷり。が、結論から言うとあまり眠れなかった(涙)。寝心地は言うまでもなく復路の方が良かったのだが、眠りに落ちていた時間の長さだけを比べると往路の方が長かったかも、というくらいで、その最大の要因は「睡眠が足りていた」ということだと思われる。手術の当日こそ朝から夕方まで病院にいたが(それでも朝から夕方まで)、前後の日は数時間程度の見舞い以外には実家でぐうたらして食って寝るだけだったので睡眠が十分だったのである。実家にばあちゃんと二人だけでは暇なので、子供たちを連れて普通に帰省した時よりも睡眠時間は全然長かったのである。そこに、「おお、結構ええやん、この席!!」という高揚感もあって、全然眠たくならなかったのが敗因ではないかと。

主要因は眠りが足りていたことであったとしても、車内の環境にも問題がなかった訳ではない。音と振動に関しては、やはり所詮バスである。特に、重量物である2階が乗っているせいで、高速のつなぎ目を通過する度に「ミシッ、ミシッ」と結構嫌な感じの音と振動があって、気になり出すとこれだけで十分寝付けない理由になりそうなレベルである。この次乗る機会があったら(あるんか?)、絶対に耳栓かノイズキャンセリングヘッドフォンを用意して乗ろうと思った。

というわけで、期待以上の座席に、期待以下の睡眠時間という微妙な結果だった訳だが、このスペースを家族4人で貸し切ったら結構盛り上がるんじゃないかと思った。多少騒いでも1階席は自分たちだけだし、トイレもあるし、とは言っても出発23:30というのはどうよ、ってのがネックではある。
乗車体験の質としてはそれほどでもなかったので、ものすごく良かったからもう一度乗りたいというのではないのだが、あの座席で熟睡できないはずがないので、もう少し睡眠力の高まっている時に是非再挑戦したいと思わせる復路編であった。

が、そんな機会がまたあるとはあまり思えず...
ドリーム号のメリットといえば
1) 安い
2) 寝ている間に移動できるので現地での時間が有効に使える
の2点だ。

が、寝心地が悪くて、かつ、何度も停まるトイレ休憩の度に目が覚めるため、よほどの睡眠力大魔王でもない限り寝不足状態で現地入りし、「時間が有効に使える」メリットが思い切り相殺されてしまうのだ。で、結局残るメリットは「安い」のみになり「安いから学生の頃何度か使ったけど、もうたくさん」というのがほとんどの人の認識ではないだろうか。

私も長らくそう思っていたのだが、最近はトイレ付き車両のため途中休憩が無く、シート間隔も広くなって結構眠れるらしい、という噂を聞いてちょっとだけ興味を持っていたものの、子供連れの帰省では選択肢の対象になるはずもなかった。ところが、入院中の父を見舞うために単身帰省することになり、折からの財政難も相まって、ドリーム号の乗り心地検証が実現してしまったのだった。

どうせ乗るなら、乗り心地の良さそうな「プレミアムドリーム号」とやらに乗りたいと思うのが人情なのだが、プレミアムドリーム号は大阪便しか無く、神戸まで行くのは通常のドリーム号のみだった。大阪まででもいいからプレミアムドリーム号にしようか、と思ったりもしたのだが、またまた「どうせなら病」が発病してしまい、どうせならプレミアムドリーム号の中でも1階に4席しかないプレミアムシートに乗りたいと思って調べたところ、往路の日のプレミアムシートは売り切れてしまっていたので、復路のみ大阪発のプレミアムドリーム号プレミアムシートになった。あわせて通常座席も検証しておくべく、往路は普通のドリーム号神戸便を予約して、乗車当日を迎えたのであった。

で、東京駅八重洲口からドリーム号神戸便2階席に乗り込んでまず驚いたのは、座席とか何とかではなく、先に乗り込んでいたおじさんたちの「寝るぞ」オーラだ。私だって、自分が乗るバスが到着する前から乗り場で待っていたのだ。わざわざ列を作って待っていた人たちよりは当然出遅れてはいるものの、そんなに何分も遅れることなく乗り込んだはずだ。が、私が2階席に着いた時には既に上着を脱いで、靴をスリッパに履き替えて、座席を完全に倒して、毛布をかぶって、室内に背を向けて、「私は寝ます、寝てます、そっとしといてください」というオーラをバンバン発しまくっているのだ。私の乗ったバスの発車時刻は22:10だ。よい子の寝る時間は過ぎているかも知れないが、よい大人の寝る時間では全然無いではないか。森田健作の歌う「君は寝るのか、そんなにしてまで」というフレーズが思わず頭をよぎったのはいうまでもない。

が、回りのおっさんたちにいつまでも感心していても仕方がないので、乗り心地チェックに入る訳だが、シートがどうこう以前に空間全体として狭い。天井が低くて網棚が超狭い。網棚はデイパックさえ乗せられず、脱いだジャケットを丸めて突っ込むくらいがせいぜい。フットレスト回りにちょっとした荷物くらいは置けるが、飛行機の機内持ち込みよりは相当控えめにしておかないと満席の時は辛いかも。今回はパラパラと空席があったので(8-9割の乗車率)、荷物置き場にさせてもらえて助かった。

通常のバスだと1列4席のところが3席になっているので大きめシートを期待したのだが、シートとシートの間隔を取っているだけで、シート自体は普通のバスサイズ。これにはちょっとがっかりだが、隣の席と肘掛けを共有している窮屈さから比べると雲泥の差と言えなくもない。今回、安眠に必要なのは寝酒でしょうw、と、得意のPlaty Preserveを使ってワインを持ち込んだのだが、空間全体の窮屈さと回りのおじさんたちの「寝るぞ」オーラと、さらには飛行機や電車よりも激しい振動とでなかなかワインを飲める雰囲気ではなかった(が、意地で飲んだw)。

と、ここまでは、ほんまに寝心地向上しとんかいな?と疑問符付きまくりだった訳だが、さすがにシートのリクライニングは深い。下手な飛行機のビジネスクラスよりも背中は倒れるんじゃないかというくらいである。でもシート幅は思い切り狭いという微妙なバランス。あと、以前の(20数年前の)ドリーム号と明らかに違うと思ったのは消灯時間後の車内の暗さと静かさだ。以前は眠れずに起きている人がそれなりにいたし、隣の人とひそひそ声で話している人もいたし、カーテンの隙間から外を見ている人もいたように思うし、それを前提にしたぼんやりとした車内の明るさだったと思うのだが、ほとんど真っ暗でカーテンも隙無くぴっちりと閉じられている感じだったのがちょっと意外というか新鮮というか。ひょっとしたら、この暗さは女性専用席が設けられたこととも関係があるんだろうかと思ったり。そんなこんなで寝やすい環境は以前より整っているはずだが、快眠というにはほど遠い感じ。おぼろげな記憶が比較対象なので、当てにならない単なる印象だが、睡眠時間の絶対量は以前とさほど変わってないが、リクライニングの深さと車内の暗さで睡眠の質がいくらか向上しているかなと感じた程度だ。

そんな訳で、ドリーム号のプロのおじさんたちのようになれば、安定したフォームでグイグイ快眠できるのかも知れないが、素人のおじさんとしては「所詮バス」感が漂いまくり、積極的にリピートしようとは思えなかった。あと、シートは以前よりゆったりしてるものの、暗さと静かさと「寝るぞ」プレッシャーから別の種類の「窮屈さ」を感じてしまったのも今一感の原因の一つな気がする。全然眠れんかった、とか、翌朝体が痛くて、とかではないので、積極的にリピートしないまでも、全く選択肢にならない訳ではない。例えば、息子が「『夜行』バス」というのに興味を持って「一度乗ってみたい」といえば、じゃあ付き合ってやろうかな、くらいの感じではある。

と、改善はしているものの絶賛はもとより賞賛にも相当な距離がある往路編であったことよ。

(復路編に続く)

月別 アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 5.2.3

このアーカイブについて

このページには、2010年2月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2010年1月です。

次のアーカイブは2010年3月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。