ドリーム号の寝心地を検証してみた件について(往路、通常版シート編)

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ドリーム号のメリットといえば
1) 安い
2) 寝ている間に移動できるので現地での時間が有効に使える
の2点だ。

が、寝心地が悪くて、かつ、何度も停まるトイレ休憩の度に目が覚めるため、よほどの睡眠力大魔王でもない限り寝不足状態で現地入りし、「時間が有効に使える」メリットが思い切り相殺されてしまうのだ。で、結局残るメリットは「安い」のみになり「安いから学生の頃何度か使ったけど、もうたくさん」というのがほとんどの人の認識ではないだろうか。

私も長らくそう思っていたのだが、最近はトイレ付き車両のため途中休憩が無く、シート間隔も広くなって結構眠れるらしい、という噂を聞いてちょっとだけ興味を持っていたものの、子供連れの帰省では選択肢の対象になるはずもなかった。ところが、入院中の父を見舞うために単身帰省することになり、折からの財政難も相まって、ドリーム号の乗り心地検証が実現してしまったのだった。

どうせ乗るなら、乗り心地の良さそうな「プレミアムドリーム号」とやらに乗りたいと思うのが人情なのだが、プレミアムドリーム号は大阪便しか無く、神戸まで行くのは通常のドリーム号のみだった。大阪まででもいいからプレミアムドリーム号にしようか、と思ったりもしたのだが、またまた「どうせなら病」が発病してしまい、どうせならプレミアムドリーム号の中でも1階に4席しかないプレミアムシートに乗りたいと思って調べたところ、往路の日のプレミアムシートは売り切れてしまっていたので、復路のみ大阪発のプレミアムドリーム号プレミアムシートになった。あわせて通常座席も検証しておくべく、往路は普通のドリーム号神戸便を予約して、乗車当日を迎えたのであった。

で、東京駅八重洲口からドリーム号神戸便2階席に乗り込んでまず驚いたのは、座席とか何とかではなく、先に乗り込んでいたおじさんたちの「寝るぞ」オーラだ。私だって、自分が乗るバスが到着する前から乗り場で待っていたのだ。わざわざ列を作って待っていた人たちよりは当然出遅れてはいるものの、そんなに何分も遅れることなく乗り込んだはずだ。が、私が2階席に着いた時には既に上着を脱いで、靴をスリッパに履き替えて、座席を完全に倒して、毛布をかぶって、室内に背を向けて、「私は寝ます、寝てます、そっとしといてください」というオーラをバンバン発しまくっているのだ。私の乗ったバスの発車時刻は22:10だ。よい子の寝る時間は過ぎているかも知れないが、よい大人の寝る時間では全然無いではないか。森田健作の歌う「君は寝るのか、そんなにしてまで」というフレーズが思わず頭をよぎったのはいうまでもない。

が、回りのおっさんたちにいつまでも感心していても仕方がないので、乗り心地チェックに入る訳だが、シートがどうこう以前に空間全体として狭い。天井が低くて網棚が超狭い。網棚はデイパックさえ乗せられず、脱いだジャケットを丸めて突っ込むくらいがせいぜい。フットレスト回りにちょっとした荷物くらいは置けるが、飛行機の機内持ち込みよりは相当控えめにしておかないと満席の時は辛いかも。今回はパラパラと空席があったので(8-9割の乗車率)、荷物置き場にさせてもらえて助かった。

通常のバスだと1列4席のところが3席になっているので大きめシートを期待したのだが、シートとシートの間隔を取っているだけで、シート自体は普通のバスサイズ。これにはちょっとがっかりだが、隣の席と肘掛けを共有している窮屈さから比べると雲泥の差と言えなくもない。今回、安眠に必要なのは寝酒でしょうw、と、得意のPlaty Preserveを使ってワインを持ち込んだのだが、空間全体の窮屈さと回りのおじさんたちの「寝るぞ」オーラと、さらには飛行機や電車よりも激しい振動とでなかなかワインを飲める雰囲気ではなかった(が、意地で飲んだw)。

と、ここまでは、ほんまに寝心地向上しとんかいな?と疑問符付きまくりだった訳だが、さすがにシートのリクライニングは深い。下手な飛行機のビジネスクラスよりも背中は倒れるんじゃないかというくらいである。でもシート幅は思い切り狭いという微妙なバランス。あと、以前の(20数年前の)ドリーム号と明らかに違うと思ったのは消灯時間後の車内の暗さと静かさだ。以前は眠れずに起きている人がそれなりにいたし、隣の人とひそひそ声で話している人もいたし、カーテンの隙間から外を見ている人もいたように思うし、それを前提にしたぼんやりとした車内の明るさだったと思うのだが、ほとんど真っ暗でカーテンも隙無くぴっちりと閉じられている感じだったのがちょっと意外というか新鮮というか。ひょっとしたら、この暗さは女性専用席が設けられたこととも関係があるんだろうかと思ったり。そんなこんなで寝やすい環境は以前より整っているはずだが、快眠というにはほど遠い感じ。おぼろげな記憶が比較対象なので、当てにならない単なる印象だが、睡眠時間の絶対量は以前とさほど変わってないが、リクライニングの深さと車内の暗さで睡眠の質がいくらか向上しているかなと感じた程度だ。

そんな訳で、ドリーム号のプロのおじさんたちのようになれば、安定したフォームでグイグイ快眠できるのかも知れないが、素人のおじさんとしては「所詮バス」感が漂いまくり、積極的にリピートしようとは思えなかった。あと、シートは以前よりゆったりしてるものの、暗さと静かさと「寝るぞ」プレッシャーから別の種類の「窮屈さ」を感じてしまったのも今一感の原因の一つな気がする。全然眠れんかった、とか、翌朝体が痛くて、とかではないので、積極的にリピートしないまでも、全く選択肢にならない訳ではない。例えば、息子が「『夜行』バス」というのに興味を持って「一度乗ってみたい」といえば、じゃあ付き合ってやろうかな、くらいの感じではある。

と、改善はしているものの絶賛はもとより賞賛にも相当な距離がある往路編であったことよ。

(復路編に続く)

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このページは、ueharaが2010年2月17日 22:04に書いたブログ記事です。

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