2006年印象に残ったワイン(6)

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さて、今年も残すところ40日強となったわけだが、今年中に「2006年印象に残ったワイン」シリーズは完結するのか?と相変わらず訝りつつも、とりあえずPart 6。
Part 8で完結予定なので、多分大丈夫じゃないかなぁ、と楽観的に考えつつ...

Part 6で取り上げるワインはDiatom Clos Pepe Chardonnay 2005。
これまでに取り上げたワインに関しては「印象に残った」=「味わいが印象に残った」ということなのだが(普通特に断らんかったらそうですよね?)、このワインについては、ワインができるに至る経緯を含めて、頭でなるほどなと思ったことも「印象」に加味した上でのことなので、「このワインを載せるくらいなら、俺が飲ましてやったあっちの方が..」とお思いの方もおいでかもしれないが、悪しからず。

このワインについて語るには、このワインの前身(?)であるところのBrewer Cliftion Chardonnay Clos Pepe Vineyardについて触れねばならない。端的に言うと、B-CのClos Pepeというのは微妙なワインだったのだ。B-CのClos Pepeってどんなワインと言われれば、多くの人が「ミネラル」と答えるのだ。で、白ワインにとって「ミネラル」というのは多くの場合褒め言葉なのだ。では、ミネラルなB-CのClos Pepeは素晴らしいワインなのかと聞かれれば、微妙なのだ。

私がずっと持ってた印象は「素性は良さそうだが、結果を伴ってない」というものだ。「素性は良さそう」なだけに、今後大化けの可能性は無いでもないわけだが、その結果が未だ出ていない現時点ではやはり微妙と思っていたところ、2005年の秋にLompocを訪れた際にGregからClos PepeのChardonnayで新しいワインを作ろうとしていると言う話を聞いた。

どんなワインかと聞けば、Melville Inoxと同じ路線でさらに先を目指したワインとのこと。非常な低温で発酵させ、マロラクティックは行わず、熟成に樽は使わない。できるだけ何も余計なことをせず、ブドウそのものが持っているものが、ワインの中に表現されるようにとのことだ。また、そのワインはB-Cのワインとしてではなく、別ブランドで出すということだったので、「やはりそのようなexperimentalなワインはB-Cブランドでは出さないことにしているのか?」というようなことを尋ねたところ、「experimental」という言葉が心外だったようで、「僕がやっているのはexperimentではなくて、pushing the limit forwardだ」という返事が返ってきた。行き当たりばったりな実験ではなく、ちゃんとどっちに行くか分かってやっている、と言いたかったのだろう。

で、出来たワイン(Diatom Clos Pepe Chardonnay 2005)を飲んでみれば、非常にフォーカスのビシッと合ったprecisionを感じさせる味わいである。「ミネラル」はいまいち褒め言葉ではなかったわけだが、この「precision」は明確に褒め言葉である。良くこの手の樽無しマロ無しのシャルドネはrazor-sharpなどと表現されるが、カリフォルニアの場合はボディがしっかりとあるので、金属質な印象は受けるもののrazor-sharpというのとはちょっと違う感じである。私のイメージはingotから匠の手で精密に削りだされたパターヘッドとかそんな感じだ。飲みながら、そういう質感を愛でる感じが実に楽しいのだ。

というわけで、Clos PepeのChardonnayにかかっていたモヤモヤを見事に晴らしてくれたGregに賛辞を送りつつ、Part 6の締めとしたい。

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コメント(1)

このコメント、結構、響きました。
タカるわけじゃありませんが、久々にシャルドネで飲んでみたいワインになりましたです。

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このページは、ueharaが2007年11月18日 23:46に書いたブログ記事です。

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