QoS

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直接的に本業に関わることは書かないようにしていたし、あまり、メジャーなサイトからトラックバックするのも避けていたんだけど、ここまで周りが静かだとつい義務感で反応しちゃうというか、そんな感じで書いてみることにしました。
昔から、CNETの読者は通信業界ど真ん中ってあたりの話題には意外と反応してくれないのよねぇ、なんて多少は事情を知っているようなふりをしてみたり(笑)。

と、前置きはいいとして本題に入ると...

日本ではある程度QoSは流行ると思います。もうこれは国民性だから仕方がない。MPLSが世界に先駆けて流行った国ですから。で、MPLSも一部純粋IP主義者には極めて評判が悪い。曰く、パス管理などということをし始めると、statelessで自律的であるというIPルータの利点が大幅に損なわれてしまう、と。それでもMPLSがここまで流行ったのは、いまやインターネットは90年代半ばごろとは違って、昔ながらのキャリアが運用しているからです。で、昔ながらのキャリアさんはとにかくQoSが好きです。キャリアさんというのは、たとえガソリンがリッター5円になっても省エネ車の開発に血道を上げるだろうというような人たちの集団なのです。

QoSが流行るといっても、ガチガチの帯域保証がそれほど流行るかどうかは疑問だと思っています。それは、梅田さんのblogで紹介されている川野さんのメールにもあるように「世界中のルータをアップグレードしなくては厳密な通信品質の保証なんてできない」し、そのアップグレードのコストがペイするほど「通信品質の保証がカネになるという確信がな」いからです(ザガットのような引用ですみません^^;)。とはいっても、一部P2P利用者の異常な高トラフィックが問題となっているように、アクセス回線の高速化に伴い、少数のユーザがバックボーンに対してインパクトを与えうる状況下ではある程度のトラフィックの優先制御が必要となってくる可能性は大いにあります。

ここからはCaspianの話になりますが、Caspianの良い点はエンド-エンドに大仰な仕組みを導入しようというのではなく、ノード毎に非常に細かなフロー単位の制御を導入しようとしている点にあると思います(間違ってたらごめんなさい)。あるノードにその技術を導入すれば、そのノード前後のホップではトラフィックが整理(という表現がいいかどうかわかりませんが)されますので、ネットワーク上のボトルネックの発生しやすいところから順次導入していく、というシナリオが可能なのではないかと思います。そうであれば、適用領域を見つけるのは、「ネットワークを全面的にアップグレードして、そのコストをペイしてくれるプレミアユーザを探す」というほどの難問ではありません。

「帯域制御vs帯域拡大」という大上段の話になってしまうと、私自身も帯域拡大派ではありますが、帯域制御というのは帯域保証よりも範囲の広い話であり、そうなると、必ずしも全ネットワークを帯域制御対応にするか否か、という議論ではなくなってくるので、今後、さまざまなニーズから帯域制御が流行る可能性は大いにあるのではないかと思います。

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 梅田さんのblogの中で、QoSのシビアなネットワーク vs. パワープレイな土管 のコスト効率の良いものはどちらか?という議論があった。実際にそこで使われている言葉にすれば、「品質... 続きを読む

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このページは、ueharaが2003年9月 3日 20:52に書いたブログ記事です。

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