「いい大学」トラップ

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既に、別の人のコメントにもあったが、今日の梅田さんのblogのエントリ13歳のハローワーク的内容で共感できる。
が、ここでちょっと触れたいのは、以下の部分。

特に日本の場合、そしていい大学に入った学生ほど、専門として選ぶ領域を「好きだから、やりたいから」ではなくて「そこそこできるから」選んでしまうケースが多い。そしてそのままあまり深く考えずに職業を選び、何の疑問も抱かずに10年、20年と同じ仕事を続けて、ふとある日、「自分が心からその仕事を好きなのではなかった」ということに気づいて後悔する、でももう遅すぎて動くことができない、というような例を多く見る。年取ってから、こういう後悔だけは、してほしくないなと思う。こんなもったいない話はないからだ。

その通りだと思うが、特に「いい大学」の人にはさらに一段深いトラップが待っている。「そこそこできるから」の主語が自分であればまだいい。最悪なのは「大学名がそこそこの仕事をしてしまってくれる」環境を選ぶこと。これが、「いい大学」トラップ。
今考えると愚かだが、ふた昔ほど前に、就職活動なるものをしていたころには「自分の能力を活かすvs大学名を活かす」なんて話を友人たちと大まじめにしていたものである。それは、大学を出る=ある種のチケットを手にする、と考えた場合に、あるイベントだとs席のチケットをくれるが、別のイベントだと立見席のチケットしかくれない、という状況に相当する。今なら、興味の無いイベントなんていくらかぶりつきの席で見られても何も得るところは無い、と断言できるが、当時は折角のいい席だしなぁ..無駄にするのは勿体無いなぁ..などというスケベ心をなかなか捨てきれずにいた。しかし、一夜限りのイベントですら得られるものが無ければ時間の無駄である。ましてや一生を左右する職業選択の際に席の良し悪しを重視するなんて論外。さらに、良い席を用意してくれるのは押しなべて「枯れた」業界だったりするから、少し前の梅田さんのエントリにあったVantage Pointという観点からも論外である。

まあ、今こんなことを言ってられるのも、そこまで日和った当時の選択から曲がりなりにも方向転換できたのも、全てインターネットのおかげ。感謝してます。

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コメント(2)

13歳のハローワークに関しては,マーケティング先行企画以外の何物でもないというのが個人的見解ですけれど,それはともかく。だって,まずあんだけしか選択肢がないと思わせてしまったら最悪でないすか。

学歴というかそういう周辺だと,学士の段階で偏差値とかで上位に位置づけられ,で,学士で出るんならば今の状況は分からないですけど,やりたいことをやることを至上主義に数年過ごしてみて,その間に実らせることが出来たにせよ未完になっちゃったにしろ,良くも悪くもそこでの収穫こそが一番重要で,そーゆーのはどこのガッコ行っても同じじゃないのかなあ,と勝手に個人的感想を書かせていただいたりしてみます。そーゆー人はどこのガッコに居たかとか,ほとんど気にしないんじゃないかなあ。学費が安いとこに越したことはないし,著名なガッコの方がいろいろ良い環境なのは確かだと思うけど。逆差別もないとも言えないけどね。

チケットなんかもう誰も用意しないし,仮に用意されて入場したとしても,次回の公演でのチケットの保証などありえないし,ありえるところは仰るとおり枯れ木の可能性が高いかもしれませんし。

ただ,それなりに数年格闘して得られる収穫というのは,教官はもちろん研究環境やなんかに依存する部分が結構多いとは思うので,その意味では,うーん,ある種のレールといえるかもしれない。でもそれは決して外部にレールがあるのではなくて自己の中のベースラインの確かさとしてのフレームワークの完成度としてだと愚考します。

考えることが出来る力を身につけることが第一で,それがあれば,ありきたりの大昔からのレールになんか乗らないであろう,ただしそのためにはそれを鍛えられる環境に身を置く経験を欠いたら厳しいはず,という感想です。それが別にガッコである必要もないのは当然だけど,安くそれを提供してくれる国公立ガッコは,今でもそれなりに役に立ってるんじゃないのかな,と。

寄付金やらなんやらで,何百万も投じることには懐疑的ですけどね。

乱文乱筆失礼をば。

主旨の分かりにくい文章を書いちゃったようですみません。
国立大学の価値を否定する気はありません。中にいる人たちは往々にして何が価値なのかという認識がズレちゃってたりするように思ったので、有難がるポイントがずれてるよ、というようなことを指摘したかったまでです。

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このブログ記事について

このページは、ueharaが2004年3月16日 15:37に書いたブログ記事です。

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